第2章 消えない疼き〈完〉
葵の首を片手で固定し、素早く首筋に口をつける
「んんっ」
葵の声が少し遠くに、いつもより甘く聴こえる
吸ったものを懐紙にだし…
もう一度首筋に唇を寄せ、抱きこむように身体をひき寄せる。
一度吸われたことで油断していた葵が
ビクリと大きく震えたのが伝わってきた
首筋に舌と唇で刺激を与えていく
「ひゃっやっ、い、えやす、さん。やめ、やめてぇ…やぁぁ」
身体を震わせ、逃げようとするのを
強く抱きしめて逃げられないようにする
増す甘い香りと自分の名前を呼ぶ葵の甘い声に
もっと触れていたい
もっと震えさせたい
自分のことしか考えられないようにしたい
もたげた熱は消えそうにない
そのまま耳をなぶる様に舌をはわし、軽く歯を立てた
「ひっあっあぁぁぁ」
ひときわ甲高い声が聞こえて我に返る
しまった‥
ゆっくりと葵を離して壁に寄りかからせてから、
無言で処置を済ます
「あんたが過剰に反応するのが面白いから揶揄っただけ。
俺に迷惑をかけた罰。
これに懲りたらケガをしないように気を付けることだね
隠したらもっとひどい罰をあたえる。
明日からは薬を塗るだけで大丈夫そうだから寝る前に女中に塗ってもらう様にして。
じゃ、俺は湯浴みに行くから、落ち着いたら部屋に戻りな」
顔も見ずにまくしたて、部屋を出る
身の内に籠ってしまった熱は出口を探してさまよい続ける
この疼きはどうすれば消える…?
終
(次はあとがきという名の言い訳です)