第1章 不器用なふたり
…、
と言って、彼は私を見つめた。
一瞬周りの音が
消えた気がした。
「…が好きなんだよ、俺。
ずっと前から。」
「…… っ!」
何をいきなり言いだすんだ!
この人は!!
目を真ん丸にして
思わずカカシを
みつめてしまった。
みるみる
顔が火照る私。
しまった…恥ずかしい…。
違う違う違う!!
からかってるだけだ!
しっかりしろ!
免疫なさすぎ、私。
「……っ!あ、やだなぁ、
冗談上手だね」
声が、出しにくい。
動揺を隠せない…。
「俺、冗談言ってるように見える?」
彼が少し
ムッとしてるのが分かった。
声が出ない。
そんな素振りを
見せられたことが
私は一度もないのだ。
あり得ない。
「そんな風に感じたことなかった…」
だって、あなたは
私が嫌いだったでしょう?
「は、だって、ずっと避けたでしょ、俺のこと。」
彼は、私を見つめながら話した。真っ直ぐに。
「だから最近、アカデミーで会って、と話すのが楽しみなんだよね。」
あ、
昔…
小さい頃、
わたしが好きだった笑顔…
私に向けて笑ってくれている。