第1章 不器用なふたり
あれから
やっぱりカカシとは気まずくて
嫌だった。
なんか私がよそよそしくなって、そばにいれなくて…
失恋女は予想以上に
シツコイのだ。
段々落とし所を見つけれず、
ずっと微妙な感じだった。
私も大人になり、彼も大人になった。
会えば挨拶して、少し当たり障りない会話するぐらい。
それだけ。
カカシが、暗部から上忍に戻って、上忍師になったらしい。
私は今、アカデミーの教師をしている。
「あ、お疲れ様です。
お先に失礼します。」
夕方、
任務帰りのカカシに会った。
私は仕事帰りだ。目線もすぐに逸らして足早に通り過ぎる。
事務的な会話はする。
もうわたし達は大人なのだ。
とうとう私たちの関係は
同期から
ただの知り合いに変わってる。
それぐらい素っ気ない関係だ。
私にとって、カカシは
苦手で関わりたくない人になってしまっている。
それでいい。
納得している。
だけど、残念なことに
気持ちだけ、
まだ残ってしまっている。
それを
彼には絶対
気づかれてはいけない。
好きではない人間に
いまだに好意を持たれている。
気持ち悪い上に
はっきりいえば迷惑しか無い。
私は、もう大人だ
それくらい分かっている。
分別が出来る。
あの時から少しは成長しているはずだ。
「……、おつかれ。」
ふぅと小さい溜息が聞こえた。
スタスタ歩いていたが、思わず振り返ってしまった。
「……。」
立ち止まり振り返って彼をもう一度見た。
私は
何も考えていなかった。
走って
彼の肩を叩いて
声をかけた。
「カカシ…これ!
良かったらどうぞ。」
早口で声が上擦った。
恥ずかしくて
アワアワしてしまう。
「私はこれを飲むと、
疲れが吹っ飛ぶんだ。
余計なお節介かもしれないけど、もし良ければどうぞ。」
持っていた栄養ドリンクを
渡した。
カカシは、
振り返ってこちらを
ビックリした顔で見ている。
「ああ、悪い、ありがとう。」
カカシにそう言われて、
引きつっていたが
なんとか笑顔で
その場を急いで離れた。