第9章 体育祭
リレー後、すぐにどこかへ行ってしまった黄瀬を捜索中。
体育館や教室など色々なところを探してみたけど全然いない…。
「むー…あとどこだろ…」
ダメ元で校舎裏に行ってみたら、意外にもそこに黄瀬はいた。
水道で顔を洗っている黄瀬に近づき、頭にタオルを被せた。
「黄瀬、おつかれ。はいタオル」
「瑠衣っち!ありがとっス!」
眩しい笑顔でお礼を言う黄瀬。
あれ、私は落ち込んでるかと思って様子見に来たんだけど…。
本人はそんなに気にしてなかったりするのかな。
そんな私の疑問を察したのか、黄瀬は困ったように苦笑した。
「俺に気使って来てくれたんスよね。ありがとう」
「いーえ、別に………意外と落ち込んでないの?」
「そんなわけ無いじゃないっスか!めっちゃ悔しいっスよ~」
黄瀬はタオルをがじがじと噛みながら悔しいアピールをした。
あれ、そのタオルって私が貸したの…。
密かに私が受けたショックに気づかず、黄瀬はでも、と話を続けた。
「なーんか清々しい気分なんスよ。スッキリつーかサッパリつーか…」
「んー…よく分かんない」
「俺も分かんねっスわ!」
そう言い笑い飛ばす黄瀬は非常に明るくて、こっちまで笑顔になる。
なんだか私、黄瀬といると笑ってることが多いな。
前はそんなに笑わない方だったのに…なんでだろう。
「う~ん………」
「何スか笑」
「ん~?」
黄瀬の顔を凝視して十秒経過。
…あ、分かった。