第8章 熱です
大輝に支えられながら家に帰ると、驚いた顔をしたお母さんに迎えられた。
「うわっ瑠衣どうしたの!?」
「コイツ、教室で寝たせいで風邪ひいて熱出した」
「はあ?全くアホなんだから…大ちゃん、わざわざありがとね」
…相変わらず病人に対する扱いが雑な母である。
お姉ちゃんがインフルエンザになったときも部屋に隔離して病院にも連れて行かなかった。
『若いんだから自力で治しなさい!』
これが我が家の病人への対応でございます。
「そうだ大ちゃん!夜ご飯食べていってよ!最近大ちゃん来てくれなかったから寂しかったのよ~」
「いや、いーわ。あんま腹減ってねーし」
「そう?じゃあコレお母さんに持ってって!今タッパーに…」
お母さん本当に大輝のこと好きだな…。
でもさすがに、熱出した娘を放置するほど好きとは思ってなかったですよ?
もういいや、勝手に部屋行こー…。
そう思い、重い足取りで階段を上っていった。
私たちが小学生の頃は大輝とさつきとよく遊んだっけ。
お互いの家行ったり、バスケしたり、無駄に走り回ったり。
大輝が虫捕まえてさつきに見せたらさつきが怖がってその虫潰しちゃって。
あの時は大喧嘩して口聞かないほどになっちゃって、私ずいぶん気まずかったっな~。
ふふっ、と思わず笑みが零れた。
自分の部屋のドアを開け、ベッドに飛び込む。
制服のままだけど寝ちゃおう…。
次起きたとき着替えればいいよね。