第6章 変わっていく関係
「…あれ?誰もいないじゃん…」
バスケ部のみんながいると思っていたそこには、バスケ部どころか、生徒も誰一人いなかった。
こんなに静かな屋上、初めて見た…!
「驚いたッスか?ここは俺が一人になりたいときに来る、俺専用の屋上っス」
「…へ?」
「俺のための屋上なんス」
「…黄瀬はいつから自分専用の屋上を持つボンボンになったの?」
「…まあつまり、ただの別館の屋上っスよ」
私が言葉の意味を理解しなかったことがショックなようで、目に見えてガッカリしていた。
なんか悪いことした気分…。
「えっと…その黄瀬専用の屋上に私が入っていいの?」
「それは…その、瑠衣っちにちょっと聞いてほしい話があるんスよ」
「え?」
「聞いてくれるッスか?」
その時、黄瀬が今まで見たことの無い真剣な顔をしたから、私も気持ちを切り替えた。
そんな私の様子を見た黄瀬が僅かに微笑み、そして口を開いた。
「俺の昔の話なんスけど……」