第3章 ファミレス
「いらっしゃいませ~。2名様ですか?」
「はい」
「見りゃ分かんだろ」(ボソッ
「ちょっと大輝!」(小声
青いエプロンをつけたウェイトレスさんに席に案内される。
「お腹すいた~。大輝なに食べる?」
「俺は肉」
メニューも見ずに答えた大輝に思わず笑みがこぼれた。
「…ふふっ、昔から変わんないね。じゃあ私は…」
メニューをめくっていく私を大輝は呆れ顔で見た。
「何言ってんだよ」
「え?」
「お前はここにきたらカルボナーラだろ?」
「え…」
「昔っから俺が肉食えっつってんのにカルボナーラばっか食いやがって…おい、瑠衣?」
私はポカンとしていたが、大輝に呼びかけられハッとする。
「あ…うん、そうだね!カルボナーラにしよう!」
「…おいお前どうした。顔赤いぞ?」
そう大輝に指摘され、ますます顔が赤くなるのを感じた。
私が大輝の好きな食べ物を分かっていて、大輝も私の好きな食べ物を分かってくれている。
それだけのことなのに、すごく、すごく嬉しい。
こんな温かい気持ちになるのは世界中で大輝にだけだ。