第9章 【番外編】マツノトクエスト 第八章
それぞれに返事をして部屋の電気を消す。
一緒に寝たトド松がモゾモゾと居心地が悪そうに動いていると眠い私も気になってしまい声をかけた。
「? どうしたのトド松?」
「えと……ナス子、トイレ……行きたいんだけど」
あぁ、そっか。
トド松は夜中に一人でトイレに行けない怖がり。
この性格もゲームの中でも健在って事ねぇ、なるほど。
そろそろ一人でいけよぉ。
「はぁ、仕方ないなぁ。ほんと怖がりなんだから……ついてってあげる」
「へへ、ありがとう!!」
うわぁ、相手がトド松なのにちょっとあざと可愛い。
これだから末っ子って調子がいい……私も私か、よく我儘や頼み事をしてくるトド松の仕草に騙されて何度と甘やかしてしまった事か。
弟に弱いなぁ、六つ子だけども。
おそ松とカラ松は今日も酒の力ですぐに眠りにつきイビキまでかいている。
今日魔王の配下に襲われたばっかなのに現金なものだわ。
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宿の中、夜とあり建物の明かりも消された廊下を二人で歩き、目的のトイレへと向かう。
怖がりトド松は私の背中にペットリくっついてキョロキョロ、おどおど。
これが魔王の配下とか、あっちの敵の方がお化けみたいなモンだし怖いと思うのだがそれとこれとは別なのかね。
「がーっ、くっつきすぎで歩きにくい!!」
「だ、だってしょうがないじゃん! こここ、怖いんだからぁ」
「はぁ━━━━━━━━━━っ」
大きく溜息をついてやるのだが、トド松は気にせずくっついたまま。
でもちょっと久しぶりな感覚に嬉しさが出てくる。
甘えん坊で怖がり、口を開くとドライモンスターだけど、私の知ってるトド松のままで安心する。
「何笑ってんのナス子! 人には怖いものの一つや二つくらいあってもおかしくないでしょ~!」
安心から洩れる笑いを敏感に感じ取るトド松が口を開く。
そのままトイレに付き添い、外で待つ私。
旅立ちの時から今までの事を考えた。