第1章 【番外編】マツノトクエスト 序章
ニヤついた表情はそのままに、一度咳払いをすると口々に喋っていた六人を見回す。
「ねぇねぇ、みんな聞いて聞いて!!」
だいたい嫌な予感しかしない六人はあまりその態度に乗り気ではなかったが、このテンションになった幼馴染は止められないという事は長年の経験から理解していたので、仕方なく代表でチョロ松が口を開く。
「それで? なにナス子、突然遊びに来てどうしたの?」
「ふっふっふー、チョロ松! やっと私達の念願の夢が叶う日が来たよ!!」
腰に手を当てて、もう片方の手でビシリとチョロ松を指さすナス子はドヤ顔だ。
「念願の夢ぇ? 何言ってんのナス子。あ! もしかして大金でも手に入れたとかぁ?!」
やはりゲス長男、考える事と言えば金、酒、女。
今回の思考は金に目が眩んでいるのだろう。
「ちっがーう! でも、それくらい嬉しい事ぉ、おそ松はちょっとは金から離れろ!」
おそ松の発言にげんなりしてしまうが、ソファに座ったカラ松は足を組み額に手を当てて、首を振って少し困った表情をして顔を上げた。
「なるほど、では俺が当ててやろう……ズバリ! 俺に惚れたんだなぁ、ん~? だがすまない、ナス子の事は大事に思ってはいるが、それはシスターとして」
「野球のチケット当たったとか?!」
最後はまで言わせてもらえないのがカラ松スタイル。
十四松が視界の前に現れて、カラ松とナス子の視線を塞ぐ。
「ん~?」
十四松の発言を聞いていた十四松ストッパー一松。
彼が少し打ち震えたように何かを期待して五男の肩を掴むと横に退かしてナス子をたどたどしく見た。