第6章 【番外編】マツノトクエスト 第五章
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どのくらい時間が経っただろうか、まだ身体もダルイ中、部屋の扉が軽くキィィと言う音が鳴ると、誰かの足音がする。
静かな足音、何の言葉も聞こえないという事は、帰ってきたのはどちらかの一人なのか。
それにしても静かだ。
起こさないよう配慮してくれてるのかと思うと相手はカラ松?
正直目も開けるのも面倒臭いし今は元気にアイツらに突っ込む余裕もない、MPが回復するまで放っておいてくれとばかりに寝たフリを決め込む。
虚ろな意識で、脳も上手く回ってないからね。
部屋に入って来た相手に何の反応も返す事のない私。
しかし寝ているベットにキシリと体重が乗っかるのを感じた。
私の寝てる横に腰掛けたのかな。
起こすなよ~、起こすなよ~ダチョ〇倶楽部コント的ではなく本当に起こすなよ~?
「……ナス子」
……━━━━━━━━━━違う。
脳の回転は遅くても、これが二人の声じゃない事はわかる。
そもそもおそ松はこの世界でまだ私の名前を呼んでない。
カラ松は名前は呼ぶけど声が違う。
でも、誰だっけ━━━━━━━━━━ちょっと懐かしいような……
相手が男性だと言うのにも関わらず嫌な感覚一つない。
手のひらを優しく頭の上に置かれて目を瞑ったままの私を撫でる。
まるで自分が動物にでもなったかのようにその手は優しい。
「もう少し待ってて、必ず連れ帰ってあげるから……」
落ち着くような低く響く声と、撫でられる仕草が心地よくて、結局正体も確認せずまるで魔法をかけられたかのようにこの後また私は完全に意識を手放してしまった。