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【おそ松さん】マツノトクエスト

第1章 【番外編】マツノトクエスト 序章



 場所は幼馴染兼弟のような存在達が住む家。
 近所ではちょっとしたお騒がせで有名な六つ子が住んでいる場所、松野家。

 自分の家から徒歩で10分圏内の場所にその家はあった。
 幼少期からお邪魔している為、何も気兼ねする事なく玄関の扉を開けて大きな声で挨拶をする。

「おはようございまーす!」

 三毛猫を抱くナス子が大きな声で挨拶をすると、居間から幼馴染達の母が笑顔で出迎え嬉しそうに口を開く。

「あらぁ、ナス子ちゃんじゃない。珍しい時間に来たわねぇ、ふふふ、おはよう」

「松代さんおはようございまーす、アイツら居ますか?」

「ええ、さっきちょうど朝ご飯を食べ終わって二階に上がって行った所だから全員揃ってるわよ。今日も選び放題持ち帰り放題だから~、いっぱい吟味していってちょうだいな」

 大人になって、息子達のニートや童貞を気にする母は、ちょうど独り身で働いているこの年上幼馴染女子に誰か一人でも押し付けたく、いつもこうやって会話の端々に六つ子の押し売りが付属されている。

「も~、松代さん! 私とアイツらは全然そういうんじゃないですからね!? 姉弟みたいなモンだしっ。ってか多分向こうが私なんかお断りって思ってますから、いや、私もですけどっ」

「え~、そうかしらぁ? ほら、よくドラマとかであるじゃない? 何とも思ってなかった幼馴染が急に異性として見えてきちゃうって言うの」

「ドラマと現実は違いますからっ……! あ~、っと、とにかくお邪魔します!」

 いつものやりとりに乾いた笑いが出てしまうが、言わねばならない事は言おうと漏らし、これ以上押しが強くならないよう靴を脱ぎお邪魔しますの言葉をかけ、松代に手を振り階段を上って行く。

 閉められた襖をリズムよくパァンっと開くと、ミケ子を下ろし、これまた元気な声で誰を見る事なくナス子は有頂天のまま声を上げた。

「おっはよー、諸君! 元気かい、私は元気だ!」
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