第1章 【番外編】マツノトクエスト 序章
ある日の出来事、早朝にマンションの一室で眠い眼を擦り襖を開けてその人物ナスナス子がリビングに移動する。
床には脱ぎっぱなしの服。
使ってそのまま放置の化粧品。
読んでそのままの漫画が積み重なり、横を歩くとバサバサと音を立ててそれが崩れる。
面倒だから、が理由で散らかっている惨状の部屋は中々片付かない。
「あぁ、後で片づけないと。ふぁ……おはよ、ミケ子」
足に擦り寄ってくる愛猫を抱え自らの頬を擦りつける。
訳あって松野家四男の手により託された子猫、ミケ子。
三毛猫から名づけられたわかりやすいネーミングだったが、初期はダサイと六つ子にバカにされていた名も、今ではすっかり定着していた。
~にゃぁ
「はいはい、ご飯でちゅねぇ! 今あげますよ~」
仕事が深夜務めである為、朝は苦手、基本夜行性のナス子。
本当ならまだ寝ている時間、休みの日は基本ゴロゴロとグータラに過ごしたいとは思うのだがしかし本日は違う。
先日同じく幼馴染的な位置にいるハタ坊に会社に呼ばれ、頼み事をされた。
畏まっている立派なビルにお邪魔するなどとてもじゃないが行きたくないとは思っていたナス子ではあったが、その内容を軽く聞くだけですぐにそれに食いつく事となる。
そして今日、その頼み事を果たす日がやってきた。
朝仕度を早々に済ませて、一応向かう最終目的地はあのデカいミスターフラッグのビルだと思うと、少しだけ余所行きの服を準備し、嫌そうに着替えながらもご飯を食べ終わり口の周りを舐めるミケ子を抱く。
服は慣れないが足取りは軽く、鼻歌を歌いながらマンションを後にして、目的の場所へと向かって行くのだった。
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