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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第11章 優しさと嫉妬のオレンジ色


ロナルドの顔を見上げると、彼は少しだけ意地悪そうな笑顔をしていた。
私はハッとして、また恥ずかしくなってしまった。

「ん?」
「……だから」

決心して口に出した。

「その……また、一緒に……寝よ?」

それを聞いたロナルドは、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

「うわぁ!」
「本当にクロエは」

そのまま頭を引き寄せて抱きしめられる。

「可愛いな」

ロナルドは囁いた。
私の心臓は、飛び出そうなくらい高鳴っていた。
ロナルドとこうしていられることが、何より幸せに感じた。



夜になり、部屋の中が一層寒くなったので、備え付けてあった暖炉に火を灯した。

「小さいけど、暖炉があって良かったな」

以前と違い着替えを持っていた私達は、シャワーを浴びた後、それぞれの寝巻きを着ていた。

「エマのパジャマ、クロエにはちょっとデカくね?」
「しょうがないじゃん」
「この柄なんだ? 花?」

エマから借りたパジャマは、水色地に白い花の柄が散りばめられたものだった。

「これ、スノードロップかなぁ」
「スノードロップ?」
「冬の終わり頃に咲く花だよ」
「へぇ。詳しいね」
「たまたまワークハウスにお花の図鑑があってね。あんまりすることも無かったから、よく読んでたの」

ロナルドは、下は黒いズボンに上はグレーのパーカーを着ていた。
パーカーの下は、何かの文字が書かれたシャツのようだ。

「それなんて書いてあるの?」
「あぁ、何だろ? あんまり気にしてなかったけど」

そう言ってロナルドはパーカーのジッパーを下げた。

「……DIE?」
「これでも死神DIE! ……的な?」

一瞬間があいた。
そして私は吹き出した。

「そんなに笑わなくても良いだろ」
「だって、そんなこと言うと思わなかったから」

空気が和やかだった。
二人で一緒に笑っていられる。それだけで充分幸せだった。

「さて、寝るか」
「うん。そうだね」

私達は小さなベッドに入った。
枕も掛け布団も、当然ながら一つずつしかないので、ロナルドとの距離がすごく近くなった。
彼と同じ布団で寝るのは初めてのことではないのに、物凄く緊張していた。
私はロナルドの胸の辺りで、もぞもぞと動いた。

「寝らんない?」
「ううん! 平気」

ロナルドは私の頭の上に手を置き、指先でぽんぽんと撫でた。
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