第11章 優しさと嫉妬のオレンジ色
私は目を開けた。
何がどうなっていたのか、記憶を整理する。
死神派遣協会でロナルドとエマと一緒にいて、外に出た所に大きな空間があって……。
そうだった。私はあの抜け穴に飛び込んでから、気を失っていたのだ。
今、私が寝転がっているのは小さなベッドの上のようだった。
頭の上にある窓から、日が射し込んでいる。
太陽の高さからして、正午過ぎくらいだろうか。
「クロエ」
窓と反対の方から、声がした。
ロナルドの優しい顔が覗く。傍でずっと見守ってくれていたようだ。
ゆっくりと頭を撫でてくれた。
「私、どうなっちゃってたんだろう」
「あの抜け穴、空間が捻れてたんだよ。しかも俺が思ってたより結構強く。だからクロエは通れないっつったのに」
エマもドエスだわーと、ロナルドは少し笑いながら言った。
私は起き上がった。私達がいるのは、小さな小屋のような場所だった。
「ここさ、少しの間の繋ぎってことでエマが用意してくれた宿なんだけど」
ロナルドは前髪をかき上げた。
「いやー……なんつーか。用意しておいてもらってこんなこと言いたくはないんだけど……狭過ぎじゃね?」
確かに、床に大人が三人寝転がったらいっぱいになりそうな狭さだった。
「でもシャワーもあるし、私としては充分だよ」
「いや、違うんだよ」
「何が?」
ロナルドはまた髪をかき上げて言った。
「……ここに俺も泊まれってことらしい」
私はぽかんとしてしまった。
今私が座っているこのベッド。女性の中でも割と背の低い方の私が一人で寝て、いっぱいなのだ。
「下手に動くことも出来ないしな……。これはさすがに俺、床で寝るわ」
「だめだよ」
「いいよ。日が暮れたら、布団になりそうな何か探してくるから」
「だめ!」
私の為に、ロナルドに不憫な思いをさせるのが嫌だった。
「私、縮こまって寝るの得意だから」
「え?」
「……だから、このベッド半分以下で充分だから」
「……え?」
今度はロナルドがぽかんとしていた。
「んー。だから」
以前にも言った言葉をまた言うのが恥ずかしくなって、ロナルドの腕を掴んで自分の元へ引き寄せた。
ロナルドは私の隣に座る形となった。
「どうした?」
「……わからないの?」