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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第8章 赤と黒


「この人間は、我々死神にとって重要参考人です。悪魔に手を触れさせる訳にはいきません」
「おや。死神二人をも魅了するとは、さぞ魅力的な魂をお持ちなのでしょうね」

私を支えるロナルドの手に、力が入った。

「ちょっとアンタ!! ロナルドだけじゃ飽き足らず、ウィルに続いてセバスちゃんまでたぶらかすなんて! 本当にいけすかない子猫ね!!」
「何を言っているのです。さ、帰りますよ、グレル・サトクリフ」

ウィリアムはグレルの髪を持ち、彼を引きずって歩いた。

「お前」

私は、マダム・レッドの遺体の傍らにいた少年に声を掛けられた。

「お前、何者だ」
「え……」

そう尋ねられると、どう答えて良いかわからない。
人間であることは確かだが、先程ウィリアムに言われた通り、この時代においてはただの人間ではないのだ。

「僕と、同じ目をしている」
「目……?」
「そうだ。本当の絶望を知っている目。だから僕は悪魔に付け入られた。お前は死神に付け入られている」

私は黙って少年の目を見た。
彼の右目には、何かの紋章のようなものが浮かび上がっていた。

「その先に幸福は無い。僕は望みが叶えば悪魔に魂を喰われ、お前は死神に魂を刈られる。それだけの運命だ」
「さっきから黙って聞いてりゃ。悪魔なんかと一緒にしないで欲しいんだけど」

ロナルドが反論した。

「では、お前は死神でいながら、この人間を幸せに出来ると?」
「クロエが幸せになるのはクロエの力だろ。お前だってそれは同じはずじゃん?」
「言い訳としては上等だな。だが僕は幸せな未来など望んでいない。僕は、僕の成すべきことをするまでだ」
「カンジ悪。ま、確かにそんなんじゃ幸せ云々言ってらんないだろうね」

私は、彼らの話に割って入ることが出来なかった。

「ロナルド・ノックス。何をしているのです、早く行きますよ」
「あー、はいはい。ったく、どいつもこいつも」

ウィリアムに呼ばれ、悪魔と少年の元を後にした。
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