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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第7章 存在価値と愛


翌朝、目を覚ますと、体が重く自由が利かなかった。
寝ぼけた頭では、何があってそうなっているのか、一瞬での判断が出来なかった。
眠気が覚めてくると同時に、段々と状況が理解出来るようになってくる。
後ろから、ロナルドにしっかりホールドされていた。
まるで、私が彼の抱き枕になったみたいに……。
すぐ後ろから彼の寝息が聞こえてくる。
その状態に驚きはしたが、昨日の朝と違って、ずっと隣にいてくれたことが嬉しかった。

--顔が見たい。

そう思って、もぞもぞと動いていると、ロナルドがそれに気付いた。

「ん、クロエ。起きた?」
「うん。おはよ」
「おはよー」

ロナルドはそう言ったまま、体勢を変えようとしない。

「……ロナルド?」
「んー?」
「動けない……」
「あぁ。ごめんごめん」

体が解放され、ロナルドの方を向く。
ようやく彼の顔を見ることが出来た。
彼はまだ夢見心地な様子で私の頭を撫でる。

「クロエ」
「うん」
「夢じゃ、ないんだな」
「夢?」
「クロエとこうやって一緒にいられるのが」

そう言ってロナルドはゆっくり起き上がり、大きく伸びをした。

「ずーっと、こんな日が続くといいな」

彼がそう呟いたように聞こえた。



今日も、いつも通りの淡々とした回収作業が続いた。
彼は“死神”であり、彼が現れる所には“人の死”が存在する。
“人の死”に関する仕事を“淡々と”と表現するのが正しいことなのか、私にはわからないが、その言葉がとてもしっくりときていた。

「作業終了! 今日もあっちこっち連れ回しちゃったね」
「ううん、私は良いんだけど……足手まといになってない?」
「なってるワケないじゃん。寧ろ、ついて来てくれて嬉しいよ」

サンキュ、と言ってロナルドは指で私の頰を撫でた。
彼と過ごす中で、そういうちょっとしたことにすごく喜びを感じた。



私がこの時代に来てから、1ヶ月近くが経とうとしていた。
11月に入り、寒さも日に日に増している。
元々は、私の身の回りで起きた事件の阻止と、それによる私自身の救済の為のタイムトラベルであったが、今では、こうしてこの時代でずっと過ごして行ければ良いと思っていた。
しかし、そういう訳にもいかないのが現実だ。
私は今、死神派遣協会に無断で出入りした者として、彼らの調査対象なのだ。
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