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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第1章 出逢い


訳の分からないまま、しかし他に行く当てもない私は、ロナルドに続いて歩く。
だが、少し進んだ所の人気のない道で、ロナルドは突然歩みを止め、担いでいた“仕事道具”を音を立てて地面に置いた。
心なしか怪しげな雰囲気を漂わせている彼を前に、私の足も無意識に動きを止める。

「歩いて行くにはかなり遠い場所でさ」

そう言った彼は、素早い手つきで締めていたネクタイを解いた。

「ちょっと大人しくしててくれる?」

そう言うや否や私の背後に回り込み、持っていたネクタイで私の目を塞いだ。
急な展開に、頭も体もついていけなかった。
一体私は、何をされているのやら。
やっと頭が身の危険を悟り始めた所で、今度は体がスッと宙に浮く感じがした。
声にならない小さな悲鳴を上げた私に、彼は言う。

「しっかり掴まってて!」

掴まれと言われても、何に掴まれば良いのかとパニックになりかけたその時、ようやくこの状況を理解した。
私は今、ロナルドに抱きかかえられている。
しかもこれは、いわゆる“お姫様抱っこ”では……?
ということは、この状態での『掴まれ』は、彼の首辺りだろうか。
やっとのことでその考えに達した私は、両手を伸ばし、手探りで掴めそうな場所を見つけた。

「よし、じゃあ行くよ」

彼がそう発した直後、全身に強い風が当たる感覚があった。
しばらくその状態が続いた。物凄い速さで駆け抜けているようだ。
いや、これは駆け抜けているというのとも違う。例えるなら、巨大なトランポリンか何かで、凄い高さを跳躍している感覚だろうか。

「あのー!」
「ん?」
「一体何が起こっているんでしょうか!」
「何だと思うー?」
「わからないから聞いてるんですー!」
「心配しなくても、もう終わりだよっと」

風の当たる感覚が止み、足に地面の感触が戻ると、“仕事道具”を地面に置く音が聞こえた。
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