第3章 芽生え
その余韻に浸っていると、扉を叩く音がした。
「クロエ! ワタシよ!」
エマの声だ。
扉を開け、部屋に入ってもらった。
彼女は入ると同時に喋り始めた。
「ロナルドと何かあった!?」
「え、何かって?」
「何か、よ! 特別なこととか」
「……これと言ってないけど」
「本当? なんだか彼、様子がいつもと違ってたわよ」
「そうなの?」
二度ほど大きく頷いた彼女は、ベッドの上に座った。
「ワタシに、『俺はあんまりクロエちゃんの部屋に入るわけにはいかないから、見ていてやってほしい』って言ってきたのよね」
私もエマの隣に座った。
「あとあの子、予定してた合コン全部キャンセルしたって話よ」
「合コン?」
「そ、男女がワーキャーやるあれね。彼の生きがいだと思ってたのに」
「へぇ……」
「それから、もう一つワタシに頼み事をしてきたわ」
「何?」
「うふふ、明日教えるわね。うん、クロエの身長と体型なら、ちょうど良いと思う」
エマは顔をニヤニヤさせていた。