第1章 バニラ
両手でマグカップを持って、フーフーしながらココアをすすってる姿は、どっからどう見ても少年で。
確かにニノは童顔だし、身長も低いけど…
でもこれ、マズいよな…
「明日…仕事は?」
「…偶然…撮休…」
「まじで。良かったな…」
「うん…」
これで一日稼げるわけだ。
テーブルに置いてあったノートパソコンを立ち上げた。
「なにすんの…?」
「いやだって…どうしていいんだかわかんねーから…」
「ネットで調べようっていうの…?」
「だめ?」
「そんなのとっくにやったよ…」
「あ、そうか…」
朝っていうか、昼にはこの状態だったんだから、一日なんもしてないわけないよな…
「つか…なんで俺のとこ来たの?」
「え…?」
「だって…俺、頭わりぃし…」
そうだよ。こういうことだったら翔ちゃんの方がいいに決まってる。
相葉ちゃんとはプライベートでも遊んでるわけだし、なんだったら潤だって同じ年なのに…
それに、彼女いるじゃん。
よりによってなんで俺のとこに来たんだ?こいつ。
「だって…今、絶対暇で一人で居そうなの、あなたしかいなかったんだもん…」
「あ、そ…」
ま、そうだよな。
俺なんか最初から頼りにするわけねーか。