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カラフルⅤ【気象系BL小説】

第1章 バニラ


慌ててスワイプして出ると、息を飲む音が聞こえた。
モニターまで戻ると、その少年もスマホを耳に当ててる。

『お…おのさん…?』

遠慮がちに聞こえてくる声は、ニノの声だった。

「え…?え…?ニノ…?」

モニターに映る少年が頷いた。

「…おまえ、家に来てる?」
『うん…』

少年の口が動いてる。
今聞こえてる声は、この少年から聞こえてる…?

「え?ちょっと…」
『お願い…入れて…?おうち…』

少年が顔を上げた。

その顔は、幼い頃のニノだった。



「どうしたんだよ…」

玄関に入ってきたニノは、疲れ切ってた。

それに…なんだか不思議な香りがした。
なんだろ、これ…

「寒い…」

急に寒くなったせいで、俺も厚手のトレーナーを着てるくらいなのに、ニノは薄着で。

慌てて部屋に入れてブランケットを掛けてやった。

「温かいもの、飲むか?」
「うん…」

リビングと間続きのキッチンに入って、慌ててお湯を沸かした。
キッチンからダイニングは見渡せて、カウンターの左奥にリビングが見える。

リビングに置いた大きなテレビの前にあるソファーに、小さな背中が見えた。

きゅっと口を引き結んで、何も言おうとしなかった。

一体、ニノに何が起こったんだ…?

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