第2章 アボカド
その後、3人で送迎車に乗り込んで仕事に向かった。
相葉さんと二人で、大野さんをハラハラしてみてたけど、いつもとなんら変わりなく過ごしているように見えた。
俺は演出なんかがあったから、しょっちゅう楽屋にいることはできなかったけど、後から相葉さんに聞いたら「いつもどおりだった」とちょっと呆けていた。
相葉さんなりにとても気を使って、疲れてしまったらしい。
…まあ、その気持ちは痛いほどわかる…
まさかの、堅物翔くんとモテ男ニノが付き合うっていうか…えっちしてるような関係で。
ニノは大野さんの長年の片思いの相手。
翔くんは大野さんが絶対敵わないと思っている人で。
今までは、ニノの相手が女性だったから。
絶対自分じゃ敵わない。
だって、自分は男だからって…大野さん、何度も言っていた。
だからこそ諦めも付いていたんだろうけど…
よりによって、相手は……男。
でも相手は翔くんで…
「…やりきれないよね…」
「ん?なんか言ったか?」
翔くんが、舞台袖で爽やかな笑顔を俺に向けてきた。
「なんでもない」
「ん?潤?」
今まで俺に照れたような態度を取ることがあったけど…
もしかして俺もケツ狙われてたのかな…
「いやあ!ないわ!」
「なっ…なんだよ。急にでかい声出すなよ」
「ご、ごめん…翔くん…」