第2章 アボカド
大野さんによると…
俺や相葉さんは気づかなかったけど、翔くんとニノは随分前からお互いに惹かれ合ってたみたいで。
ただ、大野さんと同じようにやっぱりお互いが男同士だから、一歩踏み出せずにいたんだって。
「叶えばいいなって思ってた…」
「おーちゃん…」
「お互い好きなんだから…叶えばいいなって…よかった…」
よかったって言ってるのに…
大野さんからはぽたぽたと涙が落ち続けてる。
「よかった…」
「大野さん…」
そのまま喋らなくなった大野さんを、俺達は置いて帰ることもできなくて。
どうしようもなくて、俺は大野さんをそっと抱き寄せた。
「いっぱい泣いちゃいな…?」
相葉さんも隣に腰掛けて、ずっと大野さんの背中を擦ってる。
大野さんは静かに泣き続けた。
その間、どうすることもできなくて…
ただ、ただ…大野さんが、どれだけニノのこと好きかって喋ってる、蕩けるような笑顔を思い出していた。
あんなに…
あんなに好きだったのにな…
気がついたら、大野さんは泣きつかれて眠っていた。
「あ…どうしよう。目ぇ腫れちゃう…」
「氷…アイスノンかなんかないかな…」
相葉さんが氷を用意する間、悪いなと思ったけどなんとか寝室を探し当てて大野さんを寝かせた。