第7章 ショコラ scene5
「あ、起きたか」
チーフが寝室に入ってきた。
「ああ…幸雄さん、まだ寝てるから。リビング行くなよ?」
「え?」
「あの後、空気抜けたみたいにへたりこんだ」
「ああ…あああ~~…」
やっぱ…そうだよな…
どんだけ身体に負担をかけたんだろう。
俺が美々子さんに取り憑かれた時は3日起き上がれなかった。
いくら親子とはいえ、あんなのやったら誰だってぶっ倒れるよな…
「…ちゃんと、戻ったな?相葉」
「うん…ごめんね?心配掛けて」
「ったくもう…これがおまえらの命題?とかいうヤツらしいからな…」
「え…?」
チーフは鼻の頭をボリボリと掻きながら、ベッドの横のチェストに水のペットボトルを置いてくれた。
「松本がうるせえんだよ…なんかある度に、今回はこんな意味があったんだとか言ってくるから…」
「潤が…?」
「ああ…もう、だからお前らのことは耳にタコだ」
「ぶっ…」
スタスタとドアまで行くと、こちらを振り返った。
「…まあ、これもおまえたちの運命ってやつだ。俺はおまえらのチーフマネージャーだからな。…地獄の底までつきあってやるよ」
「チーフ…」
「おら、ちゃっちゃと寝ろ。もう3日で会見なんだからな!」
バタンとドアが閉まった。