第7章 ショコラ scene5
ちかちゃん…
どうか、お嫁さんになれますように…
お母さんに見てもらえますように…
「雅紀…」
泣きそうになりながら雅紀を見たら、微笑んでる。
「翔ちゃん…がんばったね…」
「雅紀ごめんな…」
「…何謝ってるの…」
だって俺がちかちゃんを連れてきてしまった。
本物さんを連れてきたのが俺だったなんて…
「だって俺、雅紀のおばけ避けなのに…」
「ふふ…いいんだって…俺、怖くなかったよ?」
「ほんと…?」
「うん…ほんと…」
手を伸ばして、俺の腹に触れた。
「お父さん気分…味あわせて貰ったもん…」
「雅紀…」
「むしろ、楽しかったっ!」
「ば、バカっ…」
ぽんぽんと俺の腹を叩くと、子猫の頭を撫でた。
「それに、ちかちゃん…凄く可愛かったよ」
「え?」
「俺、見えてたんだ…今回は…」
「えっ…」
「自分の思い通りにはすることはできなかったけどね。見たり聞いたりは、できてたんだよね…」
もしかして…雅紀も蓋、開いてたんじゃ…
「…蓋、開いてたんだって。行長先生が、夢の中で閉じていってくれたよ」
「えっ…おまえも!?」
「あ、やっぱり翔ちゃんもそうだったんだ」
「ああ…俺も、夢の中に先生が出てきて、蓋閉じてくれた…」
ふふっと笑うと、目を閉じた。
「あー…なんか、夢みたいだったな…」