第7章 ショコラ scene5
「みゃーーーーーーっ!」
耳元で、けたたましい鳴き声が聞こえた。
「うわあっ…」
びっくりして飛び起きたら、家の寝室だった。
「…痛ったー…」
飛び起きたはいいけど、すぐにガンっと殴られたような凄い頭痛に襲われた。
そのまま蹲って、頭を抱えた。
「痛ぇ…ううう…」
この頭痛は知ってる…
以前、蓋が開いた時のあとに来た頭痛と一緒だ…
「ああ…そうか…」
俺、蓋が開いてたんだ…
だから、ちかちゃんのお母さんの記憶まで見ちゃったんだ。
え…?
なんでだろ…
ちかちゃんのお母さんが来てたってこと…?
「ううう…わかんねー…」
あの男性…行長先生だった…
わざわざシンクロしてしまった俺の夢に来てくれて、蓋を閉じていってくれたんだ。
「翔ちゃん…」
声のする方を見ると、雅紀が隣で寝ていた。
目を開けてこちらを見ている。
「…雅紀…?」
「…うん…」
「ちかちゃんじゃなくて…?」
そう言うと、ふふっと笑って布団を捲った。
「あ…」
そこには、あの黒い子猫が蹲っていた。
俺を見上げると、にゃあっと元気に鳴いた。
「ああ…良かった…」
思わず子猫に手を伸ばして、抱き上げた。
「良かった…ちかちゃん…」
まだ、身体の中にお母さんの記憶が残ってる。