第7章 ショコラ scene5
「さっ…さくらいぃぃぃ~~~~」
チーフが飛び込んできた。
「えっ…ええええっ!?」
顔になんか黒いものが貼り付いている。
「なっ…えっ…ちょっ…」
「剥がしてくれ~~~~!」
いきなり俺に飛びついてきた。
「待ってっ…ちょっとっ…何つけてきたんだよっ…」
「ふぎゃーーーーーーーーっ」
ねっ…
猫っ!?
黒い猫が、チーフの顔に貼り付いていた。
「どっ…どっから持ってきたんだよっ…」
「は、剥がしてぇ~~~~さくらいぃ~~~~」
情けない声でチーフが叫んだ瞬間、黒い物体は部屋の中に向かって剥がれていった。
「ふあ!?」
その瞬間、チーフが俺に向かって倒れ込んできた。
「わぁぁぁっ…」
「櫻井さんっ…どうし…うわっ…!?」
幸雄さんの声が聞こえて、どうやら猫はリビングに行ったらしいことはわかった。
「な、なんだ!?どうしたんだっ…」
幸雄さんの慌てる声が遠くなっていく。
「ぐ…ぐぇ…」
「す、すまん…櫻井っ…」
チーフに敷かれて、三和土に倒れ込んで、潰されてる。
「いいから、どいてくれっ…」
「わ、悪い!」
なんとかチーフがどいてくれて、靴を脱いだ。
廊下の先にあるリビングへのドアは開きっぱなしで、中からはドタバタと音がしてる。