第7章 ショコラ scene5
やっぱり、昔の人なんだなあ…
よく考えたら、俺のばあさまよりも上だ。
それからも、ちかちゃんがなぜこの世に舞い戻ったか、ヒントになるようなことを聞いていった。
でもやっぱり、幼いから上手く表現できないようだった。
緒になったのは、ちかちゃんが亡くなった原因の病気のことだった。
震災の混乱で、多分十分な治療も受けられなかったんだろう。
ちかちゃんがなんの病気かまではわからなかったが、最期は相当苦しんだようだった。
「苦しい…苦しいよ…かあさま…」
夢の中のちかちゃんの姿が思い出されて、胸が締め付けられた。
「うん…ちかちゃん…今は、大丈夫だからね…安心してね…」
そっと幸雄さんがちかちゃんの頭を撫でると、手に入っていた力が少し抜けた。
「ゆきお兄さま…」
「えっ…」
突然、兄さまなんて呼ばれたもんだから、幸雄さんはちょっと動揺した。
「に…兄さまって…」
ひとりっこだから、照れているんだろう。
「ち…ちかちゃんのお家は…いいご家庭だったんでしょうね…」
返事をしていいものかわからなかったから、とりあえず頷いておいた。
ちょっと、上品なんだよな…ちかちゃん…