第7章 ショコラ scene5
「そう。だから、ちゃんとこのお兄さんのお話を聞くんだよ?」
子供に言い聞かすように言うと、ちょっと安心したようだった。
だいぶ成長したように感じたけど、まだ子供なんだろうか。
女性は男よりも早く大人びるからなあ…
ほんとにいくつなのかわからない。
「では…今日は父の代理として、全力を尽くしますので。どうぞよろしくお願いします」
ソファに座ったまま、膝に手をついて幸雄さんが頭を下げた。
「こっ…こちらこそ!どうぞよろしくお願いします!」
俺もチーフも慌てて頭を下げたら、雅紀inちかちゃんも慌てて一緒に頭を下げた。
それを見て、少しみんなで笑った。
「では…今から準備に入ります…」
幸雄さんは、もうすでに形代を身につけているようだ。
雅紀を立ち上がらせると、ソファに寝かせた。
「では…今から、父との回路を開きます。僕には父の声が聞こえていますが、皆さんには多分聞こえないので、こちらから質問しない限りは喋らないようお願いします」
なんと…幸雄さんは、行長先生と違って公開方式らしい。
「ちかちゃん、今からお話聞かせてくれるかな…?」
小さな子供に言って聞かせるような口調に変わった。