第7章 ショコラ scene5
麦茶を飲んでもらって、一息ついたら本題に入った。
雅紀inちかちゃんに向かいのソファに座ってもらって、俺もその隣に座った。
「では…えっと、初めまして。僕は行長幸雄と申します」
「こっちは俺たちのチーフ…つってもわからないか。会社の人だよ」
「かあさまの会社の人?」
「そうだよ」
緊張しながらもコクコクと頷いた。
その姿が、緊張してる雅紀と重なって、危うく押し倒しそうになった。
いや、中身違う…
「あ、幸雄さん。この子は、ちかちゃんって名前だそうです」
気を取り直して幸雄さんに報告すると、びっくりした顔をされた。
「櫻井さん、お話できたんですか?」
「ええ…」
かいつまんで、昨日の夜のことを話すと、凄く幸雄さんは落ち着いた顔をした。
「そこまで分かっているのなら、話は早い…ありがとうございます。さすが櫻井さん、よくわかってらっしゃる」
奥様と同じ口調で言うから、やっぱり行長先生と奥様のハイブリッドなんだと確信した。
「ちか…さん…」
「はい…」
俺の服を掴むと、不安そうに見上げてくる。
「大丈夫だよ。この人は、ちかちゃんを救うために来てくれたんだからね?」
「そうなの…?」