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カラフルⅤ【気象系BL小説】

第1章 バニラ








どうして…
好きって言えるんだろ





俺が智に掛けた魔法はとっくに消えてるのに




「ねえ、智…」
「ん~…?」
「今日、俺の誕生日」
「わかってるよ?」

キッチンで、俺のために夜食を作ってくれちゃってる。

「ねえ、プレゼントは~?」
「待ってろや!もう!」

ドラマの撮影ももう終盤で、追い込み。
だから日曜日の今日も撮影で深夜までかかった。

終わったその足で、智の家に来た。

「ほれ、食え」

持ってきてくれたのは、ミルク粥。

「…子供か…」
「あ?あにいってんだ?」
「いっただきまーす」

熱々のを持ってこられたから、フーフーしながら食ってたら、ダイニングテーブルの向かいに腰掛けた。

テーブルに肘をついて、俺のことニコニコして見てる。

「見んなよ…」
「なんで?」
「食いにくいだろ」
「そりゃそうか」

そう言ってちょっとだけ目を逸らしてくれる。

不器用だし、ぶっきらぼうだし…
なのに、こういうとこすごく優しい。
大野さん流の…俺達にしか見せない優しさ。

とても、好きだと思う

昔からずっと…



一回だけ…って思ったんだ。
一晩だけでも、智と恋人みたいになりたいって。

だから俺、ずっと勉強して。
こっそり先生のとこ通って…やっと、あの日。

もう独り立ちしても大丈夫って、言ってもらえたんだ。


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