第1章 バニラ
だから、ニノには可愛らしい役なんかが多いが、近年は流石に大人の男の役もちらほら振られてきてる。
ラストレシピや、プラチナデータの神楽は二役ということもあったんだけど、あれは新鮮だった。
でもこの渡海…
「やばいな…」
普段のあのニノのシニカルな部分をもっと増大させて、嫌味な感じにしたような男だ。
これがあのニノだってわかってみてるんだけど、別人にみえる瞬間がある。
手術の手さばきは、さすがの器用さで。
医療監修をしている人が感心したという話を聞いた。
陰で努力はしてるんだろうけど、これだけできるようになるっていうのも、やっぱりニノだからなんだろうなって思う。
「やっぱ、俺とは全然ちがうよなぁ…」
ニノは天才だと思う。
若い頃、演出になりたかったっていうのもあるんだろうけど、常に俯瞰で役を見ることができる。
そして、自分の役をセルフで演出することができる。
これは俺には到底できないことで…
演出に見てもらわないと、俺なんかは手も足も出ない。
自分がどういう風に見えてるかなんて、考えてる余裕はない。
でも、ニノは自分の魅せ方ってやつをわかってるんだ。
やっぱり、天才なんだと思う。