第1章 バニラ
「うわ…すげえな…」
日曜の21時。
今年に入って、この時間は必ず6チャンをつけてる。
80型のでっかい画面には、メンバーの顔がでかでかと映し出される。
「やっぱ、天才なんだな…」
1月から3月までは、この画面には松潤が写ってた。
こっちは続編で、もちろんとてもおもしろかったし、松潤の新境地開拓って感じで、見てて飽きなかった。
4月からは…あの男…
そう、二宮和也がこの画面に大写しされてる。
聞いた話だと、このドラマは原作の小説があるんだが、話は改変されてて。
まず原作の主役は、ニノがやってる役じゃないらしい。
でも、このお話を企画した人が、ニノの役の「渡海先生」の魅力に参って、どうしても主役にしたいということで、このドラマは作られることになったとか。
ニノはああいう見てくれだから、どうしてもこういう役は回ってこなかった。
幼い顔に低身長。
だから実年齢よりも若い役が多かった。
まあ、俺も人のことは言えない。
芸能界には、所謂「キャスティング本」というのがあって。
大体のタレントイメージやプロフィールを網羅したものがあるんだけど、俺とニノは同じカテゴリーに入ってる。
「ま、でも俺にはこんな役、無理だな…」
弁護士の役で懲りた…
あんな難しいのもう懲り懲りだ…
なんで初連ドラの主演で、あんな役もらっちゃったんだろ…