第6章 ビリジアン withあにゃ
その後。
俺と智の距離はちょっとだけ縮まった。
楽屋でもなんとな~くお互いを意識してて。
俺がこっそり智の傍に寄ってみたり。
逆に、気が付いたら智が俺の隣にいたりした。
休みの日や、仕事が早く終わって時間のあるときには、智の家に行った。
最初の頃は盛りの付いた猿みたいに、セックスばっかりしてたけど。
最近は、時々は2人でお酒を飲んで過ごす日もあって。
結局、智の闇がなんだったのか、教えてはくれなかったけど。
あの頃とは違う、穏やかで静かな瞳を見るたび、俺が傍にいる意味があるのかなって、そう思う。
でも。
でもね。
智は知らないと思うけど。
俺ってとっても欲張りなの。
だから…
もう一歩、踏み出すね?
「さ~としっ!」
シャワーを浴びて、濡れた髪をそのままにスマホを弄ってる背中に、ぎゅーっと抱きついた。
「ん~?どしたん?」
智はディスプレイから目を離さないまま、後ろ手に俺の髪を撫でてくれる。
「ねぇねぇ…もうすぐ俺の誕生日」
「あ~、そうだっけ?忘れてたわ~」
「え~っ!?ひどい~っ!」
「うそうそ。ちゃんとプレゼント考えてるよ?」
「…それって、もう用意した?」
「ううん、まだ。なんで?」
「俺ね?俺…欲しいものが、あるんだけど…」