第6章 ビリジアン withあにゃ
そのまま動かなくなった智の背中を、擦り続けた。
相変わらず、すんごい力で抱き締められてるから、ちょっと苦しかったけど。
「好きだよ…大好きだよ…」
何度も何度も。
ほんの少しでもいいから、智の本当の心に届きますようにって願いながら囁いた。
「だから…ここにいて?お願いだから…ずっと、傍にいてよ…」
すると、ようやく智の腕が緩んで。
ゆらりと上半身を起こす。
泣いてるのかと思ったけど、頬に涙の跡はなかった。
「…いいの…?俺、もしかしたらいっぱい傷付けるかもよ…?」
下がった眉は、彼の迷いをダイレクトに伝えてくれて。
俺は頬をそっと両手で包み込むと、引き寄せてキスをする。
「いいよ。傷付いてもいい。それでも、離れないから」
「…もう…ホント、ばか…」
「うん。俺、バカだもん。知ってるでしょ?」
「…俺は、それ以上のばかだけど」
泣き笑いの顔になって。
今度は智からキスをくれた。
「…生きたい…」
「え…?」
「俺…雅紀の傍で、生きたい…」
「…智…」
「生きても、いい…?」
「…もちろん…」
苦しいことも辛いことも
きっとこれからもいっぱいあるけど
傍にいれば
きっと大丈夫
だから、ね…?
ずっとずっと
傍で生きよう…?
「…うん…」
智の瞳から、大粒の真珠みたいな涙が、一滴だけ零れ落ちた。