第6章 ビリジアン withあにゃ
"どうして?"
あの目が俺を刺し貫くように見る
"なんで、産んじゃいけないの?"
ポロポロ涙を零しながら…
"智…"
あのまま…彼女に憎まれていたほうが楽だった
俺には、そのほうが…
"泣かないで…"
温かい手が俺に触れた
"わかったよ…"
なのに、彼女は俺を赦した
「…なんで…」
「え…?」
「なんで赦す…」
ほうっと雅紀は息を吐いた。
「…好きだからだよ…おーちゃんが…」
それだけ…?
たったそれだけで…赦せるのか…?
「なんでだよ…なんでそんなこと言えるんだよ…あんなことしたんだぞ…」
あんな酷く抱いたのに。
「わかんないよ、そんなの…」
ちょっとだけ身体を離して、雅紀は俺の髪を撫でた。
「…でもね…」
それから俺の髪に、鼻先を埋めた。
「なんの理由もなく、あんなことしたんじゃないって…わかったから…」
「どんな理由だって言うんだよ」
「それは…わからないけど…でもさ、おーちゃん…」
またぎゅっと俺のこと抱きしめた。
「…俺の前で、もう隠さなくていいから…」
「何をだよ…」
「そのままのおーちゃんで居て…?」
そのままの俺…?