第6章 ビリジアン withあにゃ
side O
あったかい…
雅紀は、あったかい
なのに俺のこの体の冷たさはなんだ
俺は生きてるのか
「離せ…」
「いやだ」
「離せっ…」
無理やり引き剥がそうとしても、びくともしなかった。
強い腕の力で、ずっと俺のこと抱きしめてる。
「…もう…離さないよ…」
更に腕に力が入った。
「絶対、俺は…離れないから…大丈夫…」
「なんでだよ…」
「好きだから」
「俺は好きじゃないっ」
「わかってるっ!」
突然、身体を引き剥がされた。
手が離れようとしたとき、咄嗟に逃げ出した。
好きだとか…
ぬくもりだとかいらない
俺には、そんな資格ない
「智っ…」
逃げようとする肩を掴まれて、無理やり雅紀の方に身体を向けられた。
「そんなこと、わかってる。好きになって貰おうなんて思ってない」
なんで…?
あんな酷く抱いたのに、なんでそう思えるんだ
「ただ…傍に居たいだけだよ…?抱いて貰わなくてもいい。ただ、傍に…」
なんで
なんで
なんで
わからない
傷つけたのに
「俺…わかった…」
そっと、雅紀の温かい手が俺の頬に触れた。
「これが…あなたの本当の姿なんだね…」