第6章 ビリジアン withあにゃ
手から滑り落ちたビニール袋が、ガタガタッと派手な音を立てて床に転がった。
「智、待ってっ…」
掴んだ手首を強く引かれて。
引き摺るように、ベッドルームへ連れて行かれた。
「待ってっ…智っ…」
この間繋がったベッドの横に立つと、俺をその上に突き飛ばした。
「あぅっ…」
衝撃に思わず目を閉じると、智が飛びかかるように上に乗っかってきて。
着ていたセーターを乱暴に捲り上げる。
「ひゃっ…」
直に触れた手のひらは、氷のように冷たかった。
「やっ…智っ、やめてっ…」
「煩い。黙れ」
また、あの地を這うような声。
俺は、ぎゅっと唇を噛んだ。
あの日のセックスを思い出すと
まだ体が震える
でも
それしか本当のあなたに触れる手段がないんだとしたら
俺
なんでもやれる
「…自分で脱ぐから…待って…」
まっすぐ、その闇色の瞳を見つめた。
智が息を呑む。
「好きにしていい。智のやりたいように。ヒドくしてもいいから」
だから
俺だけに見せて
他の誰にも見せないで
その闇で
俺を包み込んで
俺だけを
智の顔がぐにゃりと歪む
怒ってるような、泣いてるような
どっちにも見えて
どっちにも見えない
そんな表情
「…馬鹿かよ…」