第6章 ビリジアン withあにゃ
冷たい風が、吹き付けてくる。
指先もいい加減冷たくなってきた。
でも、窓を閉めることができなかった。
もう…
これ以上関わったらいけない
関わったら、絶対に傷つける
いや、もう傷ついてるはず。
なのに、どうしてああやって…
考えてもわからない。
いや、わかってる。
本当はわかってる。
わかってるのに完全に拒絶できない自分の弱さが歯痒い。
本当に苛ついてるのは、あの目じゃなくて…
俺自身…
絶対に、守るって決めたのに。
絶対に。
「…今までどおりでいいのに…」
そう、今までどおりで…
本当の俺の居場所を、守ればいい。
亡霊なんか、俺一人で抱えてればいい。
なのに、なんでこんな寒い───
ガチガチと歯の根が合わない。
寒いからだけじゃない。
俺自身が決めて、自分をこの場所に置いたのに。
「いらない…」
優しさなんていらない。
縋りたくなるから…
音を消しているスマホが突然光った。
ぼんやりとその光を眺める。
「もう…関わってくんなよ…」
その光の中にある名前の主に向かって呟く。
「もう傷つけたくないんだよ…」
知らず知らず涙が頬を伝う。
「…もう…俺に近づくな…」