第6章 ビリジアン withあにゃ
掴んだら、雅紀の動きが止まった。
顔を見上げたら、真っ赤な顔をしてた。
俺から目を逸して、掴んだ手を見つめてる。
「は…離して…」
そのまま何も答えず見てたら、目が潤んできた。
「智…」
ゆっくりと雅紀の目が俺を捉えた。
「雅紀…」
腕を引き寄せようとした瞬間、楽屋のドアが開いた。
「待たせたな!帰るぞ」
マネたちが戻ってきた。
雅紀は俺の腕を払うと、楽屋を飛び出していった。
「えっ…オイ、相葉っ!?」
「ちょっと待ってて!」
バタバタと騒がしく出ていく雅紀の背中をぽかんとみんなで見送った。
暫くしたら、またバタバタと大慌てで帰ってきて、俺に向かってタバコの箱を差し出した。
「はいっ!これ!」
…なにしてんだよ…
なんで…?
俺、あんな乱暴にしたのに
なんで
許してんだよ
ベランダの窓を開け放って、タバコに火をつけた。
ぼんやりと寒い中、街の風景を眺めながら紫煙を吐き出す。
もう、何も考えたくなかった。
忘れたい
海に行きたい
でも、今の時期はどうしても行けない
だから行きずりの男や女で解消してたのに…
手に持っていたスマホの画面を眺める。
アドレスを開くと、すぐに出てくる名前を見つめた。