第6章 ビリジアン withあにゃ
「ありがと」
にっこり笑って起き上がった。
「でも、タバコ…辞めたんじゃなかったの?」
「うん…だから、これいらないから…」
箱を受け取ろうとしたら、引っ込められた。
「え…?どうしたの?」
すごい焦った顔をしてた。
「ご、ごめんっ…これね間違って買っちゃって…開けたのすごい前だから、まずいと思うの。だから買ってくる!」
「え…いいよ。そんな…」
いいって言ってるのに、雅紀は財布を取り出して立ち上がった。
「ごめんねっ?ちょっと待ってて?」
「だから、いいって!」
別に湿気っててもなんでもいい。
タバコが吸えたらいいんだ。
だから雅紀の手からタバコの箱を取り上げた。
「いやっ…でもっ…」
いつものタバコじゃなかったけど、一本取り出して火をつけた。
すうっと吸い込むと、むせた。
「ごほっ…」
「ほらぁ…すごい不味いでしょ…?」
なんとも言えない味がした。
違うタバコだからとか、強いからとかじゃなく…
これは不味い。
俺の手からタバコを取り上げて、灰皿で消した。
「今、買ってくるから待ってて」
「いや、いいよ。自分で行くから」
引っ込んでいく手を、掴んだ。