第6章 ビリジアン withあにゃ
『堕ろしてもらえ。いいな』
どうして…?
『費用は出してやる』
なんで…?
『今が大事なときだってわからないのか』
どうしてなの…?
『他のメンバーにだって迷惑がかかるだろ』
それはわかる…わかるけど…
『潰したいのか。嵐を』
違う…そうじゃないよ
『今、辞められると思ってるのか』
そうじゃない
『未来を潰したいのか。あいつらの』
俺の
『メンバーの未来を』
俺の……未来は……?
「っ…」
飛び起きたそこは、コンサートのリハをやってるスタジオの控室だった。
うたた寝してたんだ…
ソファの座面から足を下ろすと、膝に腕をついた。
前かがみになって息を整える。
汗が酷い。
こんな夢、久しぶりに見た。
寒い。
ガタガタ勝手に身体が震える。
「…どうしたの…?」
向かいから声が聞こえた。
…気づかなかった…居たのか…
他のメンバーは見当たらなかった。
もう帰ったんだ。
何も答えず頭をあげると、雅紀が居た。
心配そうな顔を俺に向けていた。
「体調…悪い…?」
「ううん…なんでもないよ?」
少し笑って、それからじっと目を見た。
「…でも、顔色…悪い」
雅紀もじっと俺を見つめ返した。
楽屋の中は、俺と雅紀しかいない。
シンとした中、俺達は目線を外さない。