第6章 ビリジアン withあにゃ
side O
イライラする。
海に行きたい
釣りに行きたい
あの目が、俺を見る。
それだけでイライラする。
何も考えたくない
俺が誰かなんて思い出したくない
絶対に他のメンバーに知られたくないから、酷く抱いたのに。
なんだよその顔。
怯えを丸出しにして…
それでも俺のこと見たくて堪らなくて目を逸らさない。
その目は…きらきら光って…
ちっとも汚れてない。
釣りに行きたい
何も考えず、波の上で目を閉じたい
俺は…誰…?
「大野。病院行って来い」
「…え?」
「いつものやつだ。絶対いけよ?」
チーフがわざわざ俺を楽屋の外に呼び出したと思ったら、直々に検査にいけと来た。
「ちゃんとゴム着けてるよ…?」
「信用できるか。おまえ、乱交の前科あるんだから」
「へへ…」
まだジュニアだった頃の話、まだ覚えてるんだもん…
「ったく…笑ってごまかしてんじゃないよ。とにかく。ちゃんと行ってこい。いいな?」
「はあい…」
性病検査、行って来いだって。
他のメンバーにも言ってるのかな。
こんなこと。
俺だけなのかは知らないけど…
とにかく毎年行かされてる。