第6章 ビリジアン withあにゃ
どうにか起き上がると、腹の上には自分の放った白濁が、だらしなく広がっていた。
手を伸ばして、ティッシュを箱ごと引き寄せて。
ぐちゃぐちゃの涙と鼻水を拭いてから、腹の上のモノも拭き取った。
ベッドを降りようとすると、後ろから引き攣るような痛み。
「うっ…」
恐る恐る手を伸ばしてソコに触れると、またピリッと痛みが走った。
這うようにしてベッドを降り、脱ぎ捨てた服を拾い上げる。
そのすぐ横には、智が着ていた服が同じように脱ぎ捨てられていて。
思わず手を伸ばしそうになったけど、触れる寸前でぎゅっと拳を握って堪えた。
それを視界に入れないようにして、服を身に着け、壁伝いにベッドルームを出る。
リビングには智の姿はなくて。
微かに、シャワーの音が聞こえた。
智が戻ってくる前に、早くここを出なきゃって気が焦るけど、鉛の付いたように重い体は言うこと聞いてくれない。
それでも、智がシャワーから戻る前になんとか玄関まで辿り着き、部屋を後にした。
表通りまで出て、タクシーを拾って乗り込むと、急に気が緩んで。
自宅の住所を運転手に告げ、目を閉じる。
目蓋の裏に浮かぶのは、深い闇の広がる智の瞳。
それを見つめながら。
深い眠りの奥底に身を沈めた。