第6章 ビリジアン withあにゃ
俺の中で、智がびくりびくりと痙攣してるのを感じた。
それが収まると、ようやく左の手首を離してくれた。
「あっ…」
ずるりと出て行く瞬間、思わず声が出ちゃって。
また、智が嗤った。
「おまえ、才能あるよ。初めてでイケんだからな」
ククッと、聞いたこともない笑い声を立てて、起き上がった。
ベッドを降り、まだ勃ったままのソレからゴムを外すと、枕元に置いてあったティッシュに包んで乱暴にゴミ箱へ投げ棄てて。
ドアへ向かって歩き出す。
その間、俺のことはチラリとも見なかった。
「さ、としっ…待って…!」
ヒドく痛む体を動かせなくて、ベッドの上から呼んだら。
一度足を止めたけれど、結局振り向くことなく、ドアの向こうへと消えてしまった。
「どう、して…」
零れ落ちた言葉と共に、冷たいものが頬を伝う。
繋がっていた場所が、ジクジクと痛む。
脈打つごとに痛む手首には、はっきりと赤い手形が残っていて。
でも本当に痛むのは
心
優しさの欠片もないセックスだった
自分勝手で
俺のことなんて、見てもいない
ただ、自分だけが気持ち良くなるだけの行為
なのに
俺は
もっと欲しいと思ってしまった
そんな心が
痛かった