第6章 ビリジアン withあにゃ
「な…なんで…?なんでそんなこと、言うの…?」
押し出した声は、震えていた。
「だって、そうだろ?俺のこと、好きなんだろ?」
「ち、違うよっ…そんなわけ、ないじゃんっ…」
「どうして?」
「だって…だってだって、俺たち、ずっと仲間で…それに、男同士なんだしっ…」
「じゃあ…なんで、黙ってた…?」
目の前にあるおーちゃんの瞳が、ギラリと光った。
まるで
猛獣の目だ
「だっ…黙ってたって…なにを…?」
「…俺のこと…」
はっきりとは言わなかったけど。
あの店でのおーちゃんのことだって、すぐにわかった。
「だっ、て…」
「だって…?」
「わか、んないよ…俺にだって、わかんない…」
「なんで?自分のことだろ?」
「わかんないもんは、わかんないもん!」
いつもは、どんな話をしててもあっさりしたもんなのに。
なぜか今日は追求の手を緩めてくれなくて。
怖くて。
逃げ出したくて。
おーちゃんの体を離したら、今度は逆に、強く背中を引き寄せられた。
「おーちゃ…んっ…」
間近に迫った瞳の強さに縛られた瞬間、唇に生暖かいものが触れた。
数センチの距離に来た瞳が、すぅっと細められる。
唇に触れた熱は、すぐに離れていって。
「目ぇ閉じろよ。ムードねぇだろ」
初めて聞く艶めいた声が、鼓膜を震わせた。