第6章 ビリジアン withあにゃ
side A
怖かった
俺の知らない顔で、おーちゃんが嗤う
俺の知らない声で、おーちゃんが囁く
ずっとずっと一緒にいたのに
欠片も見せなかった姿
それが、今まで築き上げた俺たちの関係をぶち壊すモノのように感じて
逃げ出したかった
知らない
こんなおーちゃん、知らない
知りたくないっ…
だけど
その冷たい頬に触れた瞬間
ぐるりと世界が反転した
ボディータッチなんて、今まで数え切れないほどしたのに
違ったんだ
今までと違う感触
それはきっと
本当のあなたに触れたから
知りたくない
知りたい
知りたくない
知りたい
知りたくない
知りたい
知りたい
知りたい…
あなたのこと
もっと知りたい
本当の
あなたを
気が付いたら、腕を伸ばして。
その小柄な体を腕の中に閉じ込めていた。
「えっ…?」
おーちゃんは、大きく目を見開いて俺を見上げた。
暗い部屋の中、廊下から漏れる微かな光を集めた瞳は、キラキラとダイヤモンドのように輝いていて。
俺は閉じ込める腕にもっと力を籠める。
ずっと
こうしたかったんだ
ようやく捕まえた
だから見せて?
誰も知らない
本当のあなたを