第6章 ビリジアン withあにゃ
「銀座のどのへんですか?」
「あー…ごめん。やっぱ俺の家、行って?」
「え?」
車はすぐに、乗降口から走り出す。
「ま…待って、やだ…」
相葉ちゃんが身を乗り出した。
肩を掴んで乱暴にシートに引き戻した。
「はい?大野さんの家でいいんですか?」
「いい。お願いね」
びっくりした表情で俺を見てる相葉ちゃんを見つめ返した。
「…いいよね?相葉ちゃん」
「…わかっ…た…」
絶対…
あの店で俺のこと見てるじゃん…
面倒だな…
どうやってあれを誤魔化そうか。
男とベタベタしてたのだって見てるはずだ。
こんなこと、別にバレてもいいんだけど。
どうせややこしいことになるんだ。
どうやって相葉ちゃんの口、封じるかな。
しかし…どうして黙ってたんだろう。
俺的には助かったけど、いつもの相葉ちゃんならよろこんで喋りそうなものなのに。
よろこんで話しかけてきそうなのに。
ちらりと見た横顔。
すごく戸惑っている。
なんでこんな事になってるのかって、言いたげ。
なのに何も言わない。
マネにも俺にも。
どういうつもり?
…それで、俺に恩を売ったつもり…?