第6章 ビリジアン withあにゃ
その日は、ずっとリーダーから目が離せなかった。
でも、収録の間はいつも通りで。
相変わらず喋んないし、ボーッとしてるし、セットチェンジの間には楽屋で本気で寝てたし。
でも崖登りのゲームでは、ひょいひょいっと身軽に登ってあっさりクリアしてたし。
その姿を見てると、やっぱりあれは別人なんじゃないかって思えてきて。
そうだよね
あの店は薄暗くって、少し離れた人の顔なんて、よく見えないもん
やっぱり、あれはおーちゃんとは違う別人なんだよ
何度もそう言い聞かせて。
そうすると、ようやく肩の力が抜けて、いつもの調子が戻ってきた。
でも、その時はもう最後のゲームで。
「つーか、エンジンかかるの遅すぎだろ、今日」
それまでヘマばっかりやってたから、松潤にすっごい顔で睨まれた。
「うへへっ…ごめんごめん」
なんだか心配そうな顔してた翔ちゃんも、何も言わなかったけど、ポンと肩を叩いてくれた。
ニノも呆れたような顔してたけど、ごめんって手を合わせると、仕方なさそうに肩を竦めて。
最後にリーダーに視線を移すと。
あの店で見た
表情の消えた冷たい眼差しで
俺を見ていた
「…え…?」