第6章 ビリジアン withあにゃ
その店でリーダーを見つけたのは、ほんの偶然だった。
前から知ってる、友人のバーテンダーがこの店に引き抜かれて。
でも、ちょうどドラマの収録やレギュラー番組のロケが重なって、なかなか行けなくて。
ようやく店を訪れた日。
あなたはそこにいた
最初は、よく似た別人かと思った。
あまりにも纏う雰囲気が違いすぎて。
静かにグラスを傾ける姿は、近付く者を全て切り裂くような尖ったオーラを醸し出していて。
いつもみたいに近付くことが出来なかった。
躊躇してる間に、女が一人入ってきて、当たり前みたいな顔で、するりとその腕の中に入り込んだ。
つい、視線を逸らしてしまった。
胸の奥に
引き攣ったような痛みが走ったから
いつからだろう…
最初は憧れと尊敬だった
その澄んだよく伸びる声が鼓膜を揺らすたび
その小さな体が重力を感じさせない軽やかなステップを踏むたび
胸が熱くなって
苦しくなって
叫び出したくなって
でも目が離せなくて
ずっと見ていたくて
もっと傍に
近付きたくて…
…触れたくて…