• テキストサイズ

カラフルⅤ【気象系BL小説】

第6章 ビリジアン withあにゃ


逃げるように楽屋を出て。

地下駐車場に置いてある車に乗り込むと、エンジンをかけた。

長時間、冷たい地下に放置されていた車の中はキンキンに冷えていて。

思わず両手で自分を抱きしめると、ぶるりと身震いした。

エンジンが温まるのを待つ間、鞄の中から小さな箱を取り出す。

そこから1本引き抜き、口に咥えて。

ライターを探そうと鞄の中を漁って、はたとそういえば禁煙したんだって事を思いだした。

「…いつの間に、買ったんだろ…」


あんなに固い意思で止めた筈なのに。


仕方なく咥えたタバコを箱に戻すと、大きく息をつく。

その頃になってようやく、エアコンが大きな音を立てて温かい風を送り出してきて。

着込んでいたコートを脱ぐと、シートベルトを着け、サイドブレーキを外した。

アクセルをゆっくり踏み込むと、車は静かに夜の街へと滑り出していく。

まだ夜の浅い東京の街は人が溢れていて。

クリスマスに近いこの季節は、みんな一様に浮かれ気分で微笑んでいるように見える。

そんな人波を横目で見ながら、ところどころ渋滞している街を抜け。

銀座の近く、あまり人通りのない場所にあるコインパーキングに車を停めた。

車を降りようとして、ふと見たバックミラーには。



ひどく暗い瞳の俺が

映っている



/ 514ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp